- ニューヨーク大学スターン経営大学院の教授でポッドキャスト『The Prof G Pod』のホスト役も務めるスコット・ギャロウェイ氏は、テクノロジー企業のCEOたちを激しく攻撃した。
- ギャロウェイ氏は、テクノロジー企業のCEOたちは互いのあとについていく「臆病者のドミノ倒し」を演じていると評した。
- ギャロウェイ氏は、イーロン・マスク氏の行動を標準化するわけにはいかないと語った。
アメリカ大統領選でトランプ氏が勝利して以来、テクノロジー企業のCEOたちは大統領就任式に出席したり、ジェフ・ベゾス氏はワシントン・ポストの論説部門の見直しを進めたり、X(旧Twitter)のCEOリンダ・ヤッカリーノ氏はイーロン・マスク氏率いるXへの出稿を増やすよう、世界最大級の広告グループに圧力をかけたと報じられている。
一見バラバラに見えるこれらの出来事の共通点とは何だろうか?
ニューヨーク大学スターン経営大学院のマーケティング学の教授でポッドキャスト『The Prof G Pod』のホスト役も務めるスコット・ギャロウェイ氏は、経済界の指導者たち —— 特にテクノロジー企業のCEOたち —— はアメリカの「ゆっくりとしたファシズムへの道」に甘んじて参加していると指摘した。
3月8日、アメリカのテキサス州オースティンで開催中のSXSWで講演したギャロウェイ氏は、テクノロジー企業のリーダーたちが社会に多大な影響を与えているとし、彼らの「キャラクターが大きく影響する」と語った。
その上で「自分が『臆病者のドミノ倒し』と呼ぶような異常な事態をわたしたちは目の当たりにしている」と話し、「ドミノ牌」の具体例としてジェフ・ベゾス氏、サティア・ナデラ氏、サム・アルトマン氏、マーク・ザッカーバーグ氏、サンダー・ピチャイ氏、イーロン・マスク氏、ティム・クック氏、リンダ・ヤッカリーノ氏といったテクノロジー業界の有力者たちの写真を示した。
Business Insiderはワシントン・ポスト、マイクロソフト、オープンAI、メタ、アルファベット、アップルにコメントを求めたが、回答は得られなかった。
ギャロウェイ氏によると、こうした「ドミノ牌」の中には「大統領就任式に出席するのは嫌だけれど、株主のために自分はそうする」と、同氏がポッドキャスト『Pivot』で共演するカーラ・スウィッシャー(Kara Swisher)氏にメールを送ってきたビジネスリーダーたちもいるという。
ギャロウェイ氏は続けた。
「そして、これがXのCEOがIPGにプラットフォームへの広告出稿を要求することを事実上後押ししている。出稿しなければ、彼女は"ボス"に合併を阻止させるだろう。こうしたことが世界有数の新聞社を所有する大富豪の1人が『我々はもう意見を話題にするつもりはない』と言うことにつながる。ある種のファシスト的ドミノが次から次へと続いている」
ギャロウェイ氏のこの発言は、ヤッカリーノ氏とその周辺が大手広告会社インターパブリック・グループ(IPG)に対し、Xへの広告出稿を働きかけたとするウォール・ストリート・ジャーナルの最近の報道を念頭に置いたもののようだ。この圧力はIPGが競合するオムニコム(Omnicom)への身売りを模索している最中にかけられた。この合併には、マスク氏が緊密な関係を築いているトランプ政権の規制当局による承認が必要になる可能性もある。
Business Insiderはマスク氏とXにコメントを求めたが、回答は得られなかった。
ギャロウェイ氏は、マスク氏と同氏がトランプ大統領の就任イベントで見せたジェスチャーについても取り上げた。マスク氏のジェスチャーは、一部でナチス・ドイツの敬礼のようだと受け止められている。
「マスクがナチス式の敬礼をするシーンがループしているのを見て、『こんなでたらめを標準化するわけにはいかない』と思った」とギャロウェイ氏は続けた。
「カネがわたしたちに何をしたか、考えてみてほしい」