8月4日、大阪府の吉村洋文知事がポビドンヨードを含むうがい薬の使用を府民に呼びかけたことで、ポビドンヨード含有の有無に関わらずうがい薬の買い占めや、フリマアプリやオークションサイトなどでの転売が相次いでいる。
これを受けて、フリマアプリ「メルカリ」や、オークションサイト「ヤフオク」では、うがい薬の高額転売に関する声明を発表している。
医薬品の転売は薬機法違反で罰則も
メルカリの広報担当者は、Business Insider Japanの取材に対し、
「メルカリでは医薬品医療機器等法(以下「薬機法」)に基づき医薬品・医療機器の出品にルールを設けており、医薬品の出品は禁止しています。該当する出品を確認した場合、削除等の対応を順次しております」
と話す。
ポビドンヨードを成分に含むうがい薬は「第3類医薬品」に分類されており、販売には許可が必要だ。フリマアプリやオークションサイトなどを介して販売すると、薬機法違反となる。
違反した者には、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が課せられる(薬機法第24条違反)。
メルカリでは、機械学習を用いた違反商品検知システムを導入しており、メルカリが規定する違反商品に該当しそうな出品は自動で検知され、一度販売リスト上で非表示にされる。その上で、最終的にはカスタマーサポートの手によって、実際に違法商品かどうかを判断する仕組みだ。
ただし、うがい薬の中には大阪府の会見で指摘されたポビドンヨードを含まないタイプも存在する。それらのうがい薬は、「医薬部外品」に分類されており、メルカリをはじめ、ヤフオク、Amazonでも高値で取り引きされている状況だ。
少なくとも、ポビドンヨードを含まないうがい薬については、吉村知事の発表ではまったく言及されていない。
それにも関わらず、商品の説明欄には「コロナ」などと、さも新型コロナウイルスに効果があるような記述がみられるものもあった。
通常500円程度の商品を、1500円程度まで値上げして転売している例が目立つ。どこからが「高額転売」に相当するか明確な基準はないものの、今回の一連の騒動に乗じて利益を得ようとしているのは明らかだろう。
メルカリの広報は、こういった転売に対して、
「医薬部外品であっても、今後の状況等も鑑み、著しく高額な商品については、削除等の対応を検討・実施してまいります」(メルカリ広報)
と今後の対応について語った。
うがい薬に限らず、コロナ禍におけるフリマアプリ上での高額転売問題は、マスクやトイレットペーパーをはじめとして根深い社会問題となっている。
こういった背景も踏まえて、メルカリは7月30日に「マーケットプレイスのあり方に関する有識者会議」の設立を発表している。
この有識者会議は、高額転売問題をはじめとしたフリマアプリ業界が抱える問題について議論することで、業界として運営・管理のルールの「原則」の策定を目指すとしている。
なお、メルカリはうがい薬の転売が増えてきた8月5日、次のような声明を発表している。以下に、全文を掲載する。
いつもメルカリをご利用いただきありがとうございます。
2020年8月4日(火)、大阪府より「ポビドンヨード」成分を含むうがい薬が、唾液中の新型コロナウイルス陽性頻度を低下させるとする研究成果を発表されました。
「ポビドンヨード」等の成分を含むうがい薬は「医薬品」に該当するため、メルカリでは出品を禁止しております。
このほか、医薬部外品のうがい薬を含む日用品の出品においても、供給が不足している商品や生活必需品を通常の経済的価値と著しくかい離した価格で出品することは、「メルカリ事務局で不適切と判断される行為」に該当すると判断し、商品の削除、ご利用停止などの措置を実施する場合がありますので、ご了承ください。
なお、商品名や商品説明に病名やウイルス名、具体的な予防効果を記載する行為は、薬機法や健康増進法などの法律違反となるおそれがありますので、お控えいただくようお願いいたします。
禁止されている出品物については下記をご参照ください。
医薬品、医療機器
https://www.mercari.com/jp/help_center/article/891
メルカリ事務局で不適切と判断される行為
https://www.mercari.com/jp/help_center/article/900
みなさまに安心・安全にご利用いただくため、ご協力をよろしくお願いいたします。
今後とも、メルカリをよろしくお願いします。
(文・三ツ村崇志)