lynx   »   [go: up one dir, main page]

魂が共鳴した冷雨の夜―Sadie20周年ライブ 野音で交わした 「新生」の誓い

[ 2025年3月18日 11:45 ]

【画像・写真1枚目】魂が共鳴した冷雨の夜―Sadie20周年ライブ 野音で交わした 「新生」の誓い
Photo By 提供写真

 ロックバンド「Sadie」が16日、東京・日比谷野外音楽堂で結成20周年記念ライブ「脈拍」を開催した。昨年3月に約8年半ぶりに復活した5人は、冷雨と寒さを吹き飛ばす爆音と熱量で大暴れ。最終盤、ボーカル・真緒とギター・剣が高ぶる感情を抑えきれず抱擁を交わす場面も。雨中の祝祭は約2時間40分。バンド史を彩ってきた全20曲で、新生Sadieを刻みつけた。(「ヴィジュアル系」特集取材班)

 魂が共鳴した瞬間だった。アンコールで演奏した「Voyage」。2015年9月の活動休止前最後のステージでファンに贈った曲だ。そのクライマックス、真緒と剣の目が合った。2人は距離を縮めると、真緒が剣を荒々しく抱きしめた。剣も演奏を止めることなく顔を寄せて応える。時間にして数秒。8年半の"空白"を満たすような光景に、見守った観客の目には雨粒と涙が入り交じった。

 気温7度という冬のような冷え込みで迎えた幕開け。ドラムの景がスティックをカウントすると、1曲目「Ice Romancer」から天を切り裂くような爆音が鳴り響いた。霧雨が降る中、レインコート姿の観客が激しくヘッドバンキングで応じる。続く2曲目「心眼」では観客のジャンプと「オイ!オイ!」の大合唱。焚かれた白いスモークがまるで熱量から発する湯気のように上空に立ちこめた。4曲目「Rosario-ロザリオ-」では、真緒が曇天と対峙しながらシャウト。そのそばでベース・亜季がクールなたたずまいで正確なリズムを刻み、ギターの美月、剣は弦を弾き終えた瞬間に右手を高々と挙げ、客席のテンションを引き上げた。

 観客の熱も加速する。レインコートのフードで覆われていた客席は、髪を振り乱す動きとともに黒や茶のグラデーションに染まっていく。拳が次々と突き上がり、歓声が夜空に響く。「あいにくの雨でございます。でもこの雨も、未来に素敵な思い出として残ります」と真緒。「雨にも負けんなよ!」とさらに煽り、会場のボルテージを最高潮にした。

 約2時間40分のステージは、20年の歴史を詰め込んだ珠玉のセットリストで駆け抜けた。景は「Sadieとして20周年を迎えられたことが本当に幸せです。本当にみんな、ありがとう!」とファンに感謝を伝え、亜季も「きょうという日を一緒に過ごすことができて幸せです」としみじみと語った。

 美月は「雨やね・・・。ツアー中に水の無駄遣いをした真緒さんが水の神様に怒られたんやと思います(笑)」と冗談を交えながら、大阪城野音で迎えた10周年ライブを回想。「当時は感謝の言葉しか言えなかった。そして、これからの話はできなかった。それが凄い心残りだった」と振り返り、「でも20周年は純粋に感謝を伝えられて、これからの話もできます。みなさん安心してください」と優しく微笑んだ。

 剣は「きょうのステージ、オレのかっこよさ、30%も出てないんちゃうか。(演奏中の)必殺技を出そう思ったら、床が滑ってコケそうになって。ツルツルやでホンマに(笑)」と、雨に濡れたステージの洗礼を笑いながら振り返る。「活動休止中にそれぞれの道を歩んで、そこでSadieを知ってくれた人がいる。復活してから初めてライブに来た人も多い。これからも頑張っていきたい」と決意を語った。

 真緒が締めくくる。「僕たち5人、そして何よりこの時間、この場所を一緒に過ごしてくれたみんな、本当にかっこよかった。素敵でした。『脈拍』というタイトルをつけ、血の通った素晴らしいライブになりました」。そう言うとマイクを下げ、「ありがとうございましたぁ!」と叫ぶ。会場はこの日一番の歓声に包まれた。

 ライブ終了まで降り続いた冷たい雨。しかし春の雨は「万物生」とも称され、あらゆるものに新たな命を吹き込む恵みの象徴とされてきた。2025年を「新生」と位置づけるSadieが野音に刻んだ一夜は、目撃した1人1人の"脈拍"となって語り継がれていく。

【セットリスト】
Sadie 20th Anniversary Live「脈拍」
2025.03.16 日比谷野外音楽堂

01.Ice Romancer
02.心眼
03.Jealousy
04.Rosario - ロザリオ -
05.HOWLING
06.Deadly masquerade
07.クライモア
08.ドレス
09.Payment of vomiter
10.アゲハの亡骸
11.サイレントイヴ
12.陽炎
13.METEOR
14.Grieving the dead soul
15.サイコカルチャー
16.a holy terrors
EN1.
17.Regret
18.MESSAGE FROM HERE
19.Voyage
EN2
20.迷彩

続きを表示

この記事のフォト

「Sadie」特集記事

「美脚」特集記事

芸能の2025年3月18日のニュース

Лучший частный хостинг