中野サンプラザ再開発白紙へ 区、野村不の計画認めず
東京都中野区は11日、複合施設「中野サンプラザ」の再開発を担う野村不動産などの計画案を認めない方針を発表した。野村不は建設コストの増加で計画を見直したが、区は同社による事業継続は難しいと判断した。再開発は白紙になる見通しだ。
中野区が11日、区議会に提出した資料で明らかにした。区は「現時点において、事業成立性の見通しが明らかではない」ことなどを理由とした。
区は2021年、再開発事業者に野村不動産、東急不動産、住友商事、JR東日本、ヒューリック(24年に離脱)を選定し、基本協定書を締結した。区は協定に基づく事業者との協議は継続しない方針を事業者に申し出る。
野村不は1月、事業費を抑えるため高層棟の建設を1棟から2棟に変更する方針を示した。ただ、2棟を建てる案は21年の公募時に次点の企業が提案していた。区の資料によると「当初提案の継承において、公平性・中立性に課題がある」とした。
事業者は住居やオフィス、商業施設、ホールなどからなる大規模な複合再開発をめざしていた。総事業費は2639億円を見込んでいたが、工事を請け負う予定だった清水建設は24年、資材費の高騰などを理由に事業費が900億円超上振れする見積もりを示した。野村不は採算が合わないとして、計画の見直しを進めた。
中野サンプラザは23年に閉館した。再開発は隣接する旧中野区役所と合わせて24年度中に着工、29年度中の完成予定だった。